SOLUTION 解決
プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

日々の生産工程で発生してしまう実装不良課題をケーススタディとして紹介。今回は通信モジュール製品を開発・製造しているメーカーで発生した実装不良事例です。不良の起きている現象から課題、そして検証から解決策まで紹介しています。

INDEX 目次

1.両面実装基板の需要拡大

2.今回の実装検証ケース

  1. 2-1. BGAのオープン不良とは

3.原因の仮説

  1. 3-1. 原因の仮説①:BGAに課題(反り)
  2. 3-2. 原因の仮説②:はんだに課題(粘性、濡れ性)
  3. 3-3. 原因の仮説③:基板に課題(プリフラックス)

4.今回の検証内容

  1. 4-1. 各課題と観察結果の予測

5.検証結果と対策案について

1.両面実装基板の需要拡大

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

電子機器の高性能化・小型化が急速に進展する昨今、限られた基板スペースの中で多機能な回路を構成するためには、より高度な実装技術が欠かせません。その中でも「両面実装基板」は、基板の表裏両方に電子部品を配置することで、部品点数の多い複雑な回路設計にも対応できる優れた手法として注目されています。両面実装基板」は単位面積あたりの実装密度を大幅に向上させる事で製品の小型化や軽量化、多機能化を同時に実現できます。そのため、スマートフォンやウェアラブルデバイス、医療機器、自動車の電子制御ユニット(ECU)など、さまざまな用途で利用されており、今や電子機器設計のスタンダードの一つとも言える存在です。しかしその一方で、部品の配置設計や保管方法、はんだ付けのプロセス、リフロー工程などにおいて、片面実装とは異なる技術的な配慮が必要になります。特に熱の影響や部品間のクリアランスなど、信頼性確保のための設計・製造上の工夫が求められます。今回はそんな両面実装基板で起きたケーススタディをご紹介します。

2.今回の実装検証ケース

今回のケースは通信モジュール製品を開発・製造しているメーカーで発生した事例です。このメーカーはプリフラックス処理済みの両面実装用基板を使用して製品の生産を行いましたが、B面に実装予定だったBGAの納期が遅れたため、A面のみを実装した状態で基板を保管していました。後日、BGAが入庫し、B面の実装を行ったところ、約25%の割合でオープン不良が発生してしまいました。

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

2-1. BGAのオープン不良とは

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

BGAのオープン不良とは、BGAのパッケージ側のはんだボールと基板側のランドのはんだが何かしらの理由で正しく結合されていない状態を指します。BGAのはんだボールが、基板上の対応するパッドとはんだ付けされていても、内部的に電気が通っていない(オープン=開いている)状態という不良です。

3.原因の仮説

ではどのような原因でBGAのオープン不良が発生するのでしょうか。一般的に主な原因は以下の3つに分類されます。またそれぞれのパターンで発生したオープン不良には特徴があるので、どのパターンで発生しているかが分かれば原因を突き止められる可能性が高いです。

3-1. 原因の仮説①:BGAに課題(反り)

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

リフロー時の加熱によりBGAパッケージが熱膨張し、上下方向に反ることで一部のはんだボールがパッドから浮いてしまう現象が発生します。この浮きにより、はんだがパッドに接触しない、または十分な濡れが得られず「オープン不良」が発生する可能性があります。

3-2. 原因の仮説②:はんだに課題(粘性、濡れ性)

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

はんだペーストの粘性が高すぎると、加熱中に十分に広がらず、パッドやBGAボールとの接触面積が不足します。また、濡れ性が不十分な場合には、金属面に対してはんだがうまく引き寄せられず、接合が成立しない可能性があります。これにより、ボールが浮いた状態になり、オープン不良が発生することがあります。

3-3. 原因の仮説③:基板に課題(プリフラックス)

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

リフロー時に基板のパッド表面が酸化したり、加熱によってプリフラックスの活性成分が劣化すると、はんだがパッドに適切に濡れず、接合不良を引き起こします。特にパッド表面処理や保管状態が悪いと、濡れ性が低下し、結果としてオープン不良が発生する可能性があります。

4.今回の検証内容

上記で記載した原因の仮説を検証するため、実装工程と同じ加熱条件下で、新品基板(A面実装済み)と実装不良が発生した保管基板(A面実装済み)を使用して加熱中の挙動を観察して比較・検証を行います。

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

4-1. 各課題と観察結果の予測

プリフラックス処理基板におけるBGAはんだ吸い上げ現象の解析と対策

5.検証結果と対策案について

それぞれの仮説の検証結果や詳細な観察動画、及び対策案については以下の資料にまとめていますので是非ダウンロードしてご覧ください。

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