SOLUTION 解決
基板の反り原因を特定する方法

基板の反り原因を特定する方法

日々の生産工程で発生してしまう実装不良課題をケーススタディとして紹介。今回は基板メーカー様で起きた、基板の反り原因を特定する事例です。実装不良の起きている現象から課題、そして検証から解決策まで紹介しています。

INDEX 目次

1.プリント基板の実装不良が及ぼす影響

2.今回の実装不良のケース

3.起きている現象

4.基板が原因でオープン不良を起こすメカニズム

5.基板の反りが発生する主な原因

6.原因の仮説

7.検証方法

8.検証結果と対策案について

1.プリント基板の実装不良が及ぼす影響

基板の反り原因を特定する方法

電子機器の進化に伴い、基板技術も日々進歩していますが、その一方で基板の反りや変形といった問題が製造現場において深刻な課題となっています。基板の反りは、性能低下や不具合の原因となるため、製品の信頼性や歩留まりに直結します。そのため、基板測定を通じて反り量を正確に把握し、原因を特定することが求められています。基板の反りは、温度変化や湿度の影響、材料の特性、製造工程でのストレスなど、さまざまな要因によって引き起こされます。特に、基板材料の選定やプロセス管理の不備は、反りの発生を助長する要因となります。測定を行うことで、どの工程で問題が発生しているのかを明らかにし、適切な対策を講じることが可能になります。データ比較においては、温度や湿度、製造条件と反り量との相関関係を分析することで、反りの原因を特定する手がかりを得ることができます。今回は実際に基板メーカーで起きた実装不良とその対応について紹介します。

2.今回の実装不良のケース

今回は基板メーカーで起きたケースです。車載用モジュール製品を開発・製造するメーカーでは、既存のサプライヤーからの材料不足により基板の納期が遅れたため、新たに仕入れ先に製作を依頼しました。既存のサプライヤーの基板では実装不良は発生していなかったのですが、新規仕入れ先の基板では、BGAのはんだオープン不良が約20%の割合で発生してしまいました。

基板の反り原因を特定する方法

■オープン不良とは■
はんだ接合部の不良現象。BGAのはんだボールと基板のランドが離れて接合されていないため導通不良を起こす。ハンダ凝固点でランドとハンダが接していない場合に発生する。

3.起きている現象

このケースでは新規仕入れ先の基板で製造したモジュールのみに約20%の割合でBGAのはんだオープン不良が発生しています。今回、BGAの仕入れ等に変更はないため、オープン不良の原因は基板にあると考えれます。

基板の反り原因を特定する方法

4.基板が原因でオープン不良を起こすメカニズム

実装工程で基板が要因でオープン不良が起こる場合、主要因として考えられるのが「基板の反り」です。オープン不良は何らかの理由で加熱中の基板の残留応力が解放されて基板が反ってしまい、結果としてオープン不良が起きてしまいます。

基板の反り原因を特定する方法

5.基板の反りが発生する主な原因

実装工程で基板に反りが発生する原因は実装環境によって変わりますが主な原因はとしては以下のような事項が考えられます。

基板の反り原因を特定する方法

原因①:材料
多層基板の材料間で熱膨張係数が異なることで、実装工程中に部分的な膨張が起こり反りが発生。  

基板の反り原因を特定する方法

原因②:設計不良 基板設計のバランスが悪く(銅層の分布の偏りなど)実装工程中に特定部分が局部的に膨張することで反りが発生。

基板の反り原因を特定する方法

原因③:温度設定 温度プロファイルが高すぎると、積層する材料間に熱膨張係数の差が発生して、膨張することで反りが発生。

基板の反り原因を特定する方法

原因④:吸湿
基板が湿気を吸収すると、実装工程中に水分が膨張して、基板内部に不均一な熱応力が発生することで反りが発生。

6.原因の仮説

基板の反りの主な原因となりうる仮説を立て、それらを以下のようにまとめると、基板の新規・既存の仕入れ先において材料や設計、実装工程の温度プロファイル条件に差異は無いため、「吸湿」が原因となる可能性が高い事が分かります。

基板の反り原因を特定する方法

7.検証方法

原因の仮説を検証するため、実装不良が発生した新規仕入れ先の基板に対して吸湿処理とベーキング処理した基板を2つ用意します。その2つの基板を実装工程と同様の加熱条件下で基板を加熱し、その最中の変化を測定。反り量・傾向・タイミングがどのように異なるかを可視化して吸湿の有無による相対値データを比較します。

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8.検証結果と対策案について

ベーキング処理した基板と吸湿させた基板の加熱前、加熱中の反りを測定した結果。大きな差異が生じました。検証結果の詳細及び対策案については以下の資料にまとめていますので是非ダウンロードしてご覧ください。

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