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コプラナリティとは?その重要性と測定方法

コプラナリティとは?その重要性と測定方法

現代のエレクトロニクス製品は、高度な技術と精密な設計に基づいて製造されており、その品質と信頼性は、極めて厳密な基準によって支えられています。その中でも、BGAやコネクタ端子のコプラナリティは、電子部品の取り付けと動作の安定性において極めて重要な要素です。コプラナリティが確保されていない場合、様々な実装不良が発生しやすくなり、製品全体のパフォーマンスと信頼性に深刻な影響を及ぼします。今回はそんなコプラナリティについて紹介します。

INDEX 目次

1. コプラナリティとは

2. コプラナリティの重要性

  1. 2-1. 接触不良の防止
  2. 2-2. 製造品質の向上
  3. 2-3. 長期信頼性の確保

3. コプラナリティとパッケージ・コネクタの反りの関係

4. コプラナリティの測定方法

5. コプラナリティの規格

6. まとめ

1. コプラナリティとは

コプラナリティとは?その重要性と測定方法

コプラナリティ(coplanarity)とは平面度合を意味する言葉です。BGAのはんだボールやコネクタの端子が如何に平坦であるかという事を指し、複数のはんだボールや端子が理想的には完全に平坦な状態、つまり同一平面上にあることが望ましいです。コプラナリティが保たれていない場合、複数あるはんだボールや端子はそれぞれ異なる高さにあるため、基板に接触しない箇所が出てくる可能性があります。例えば、コネクタにおいて4つの端子がある場合、それぞれの端子の頂点が形成する平面が平坦でなければなりません。この平坦からのずれが大きいと、はんだ付けプロセスにおいて問題が生じる可能性が高くなります。

2. コプラナリティの重要性

コプラナリティは、電子部品の製造と性能において極めて重要な要素です。コプラナリティが重要である理由は以下のような事項が上げれます。

2-1. 接触不良の防止

コプラナリティとは?その重要性と測定方法

端子のコプラナリティが平坦でない場合、電気的な接触不良が発生しやすくなります。例えば、スマートフォンやコンピュータの内部の回路基板では、すべての端子が正確に接触していないと、データ通信のエラーや電力供給の不安定が生じる可能性があります。接触不良は、デバイスのパフォーマンス低下や動作不良を引き起こすため、コプラナリティの管理がとても重要です。

2-2. 製造品質の向上

コプラナリティとは?その重要性と測定方法

はんだ付けプロセスでは、各コネクタの端子が均等な高さに配置されていることが重要です。均等でない場合、はんだが不均等に流れ、冷却時に不完全な接続が残ることがあります。均一な端子配置により、製造プロセスの自動化が容易になり、製造コストの削減と製品の品質向上に繋がります。

2-3. 長期信頼性の確保

コプラナリティとは?その重要性と測定方法

コプラナリティが保たれていると、端子間の機械的ストレスが均等に分散されるため、長期にわたる使用でも接続部の摩耗や劣化が均等になります。これにより、デバイス全体の寿命が延びます。例えば、自動車用電子機器などは厳しい環境下でも、信頼性の高い動作が維持されることが求めるため高いコプラナリティの精度が要求されます。

3. コプラナリティとパッケージ・コネクタの反りの関係

コプラナリティとは?その重要性と測定方法

BGAやコネクタのコプラナリティが大きく歪む場合、主な原因として考えられるのがリフロー炉での加熱実装中に起こるパッケージ・コネクタの反りです。これらの反りは、はんだボール・コネクタ端子のコプラナリティに直結するため、加熱実装中の温度変化でどのタイミングでどの位の反り量が発生するのか、正しく把握する事が重要になります。

4. コプラナリティの測定方法

コプラナリティの測定は、製造品質と信頼性を確保するために不可欠な工程です。測定方法は光学測定、接触プローブ、レーザースキャンといった方法がありますが、コプラナリティは上記のようにリフロー工程の加熱中に変化する事が多いため、リフロー工程と同じ温度条件で測定することが望ましく、このような加熱中の変化を測定する装置を「リフローシミュレータ」と呼びます。以下のようなリフロシミュレータは実装工程と同じ温度プロファイルの条件でコプラナリティを測定することが出来るため、実装課題発生時や品質管理時などで多くの企業が利用しています。

5. コプラナリティの規格

■JEITA規格
BGAのコプラナリティの規格にはJEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association)という規格があります。この規格は日本の電子・情報技術産業協会が定めた標準で、電子部品の表面実装技術に関連するものになり、この規格内のED-7306という項目でコプラナリティつまり加熱中のパッケージ反りの最大許容量が示されています。許容量は対象となるBGAのはんだボールの高さやボールピッチにより変動しますが加熱中の反りの最大許容値は0.10mm~0.25mmとなっていますのでこの範囲に収めることが製品の品質として望ましいです。

6. まとめ

BGAやコネクタ端子のコプラナリティはパッケージ、コネクタの反りと密接に関係しており、電子部品や半導体製造において非常に重要な品質管理項目です。反りはリフロー炉の温度プロファイルや素材の材料品質などの要素を適切に管理・改善することで、製品の信頼性と性能を向上させることができます。コプラナリティでお悩みの方は、まずはリフローシミュレータを使用して、今起きている現象を正しく把握することが課題解決の第一歩になります。

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